2025年10月1日より、「改正住宅セーフティネット法」が施行されました。
高齢者や低所得者、子育て世帯など、「住まいを探すのが難しい」と感じていた方々(住宅確保要配慮者)にとって、これは大きな一歩です。この法改正は、単に住居を提供するだけでなく、「貸しづらい大家さんの不安を解消」し、「借りる人の入居後の安心を強化」することを目的としています。
日本が抱える「空き家活用」と「居住支援」という二つの課題を解決に導く、改正法のポイントをわかりやすく解説します。
柱1:大家さんの不安を徹底的に解消する仕組み
高齢者などの入居を敬遠する最大の理由は、「家賃滞納」や「孤独死後の残置物処理」といったリスクです。改正法では、これらの懸念を公的な仕組みでカバーします。
1. 家賃滞納に備える「認定保証制度」
大家さんが最も心配する家賃滞納のリスクを減らすため、国が「認定家賃債務保証業者」制度を創設しました。
- 公的なお墨付きの保証会社:国土交通大臣が認定した保証業者は、高齢者などの入居者の保証を原則として引き受けます。
- 保証リスクの低減:この認定業者は、住宅金融支援機構(JHF)の保険を利用でき、万が一の家賃滞納リスクを最大9割までカバーできます。大家さんにとっては、非常に安心できる制度です。
2. 残置物処理の円滑化と契約の明確化
- 残置物処理の委託:孤独死などで入居者が亡くなった後の残置物(家財など)の処理を、居住支援法人の正式な業務に追加しました。事前に委託契約を結ぶことで、大家さんは処理の負担から解放され、次の入居者募集へスムーズに移行できます。
- 終身建物賃貸借の簡素化:「入居者が亡くなると契約が終了し、相続人に引き継がれない」終身建物賃貸借について、これまでの「住宅ごと」だった認可手続きが**「事業者ごと」**へと大幅に簡素化。大家さんがこの契約形式を導入しやすくなります。
柱2:見守りとサポートが一体化した「居住サポート住宅」
「住まい」と「福祉サービス」を切り離さず、入居後の生活を見守る新しい賃貸住宅の仕組みが誕生しました。これが「居住サポート住宅」です。
1. 3つの安心サポートが必須
この住宅には、以下のようなサポートが居住支援法人などによって提供されます。
- 日常の安否確認・見守り:ICT機器や定期的な訪問による安否確認と生活状況の把握。
- 福祉サービスへのつなぎ:体調や生活状況が不安定になった際、必要な介護や福祉サービスへ迅速につなぎます。
2. 生活保護受給者も安心の「代理納付」
この住宅に生活保護受給者が入居する場合、家賃(住宅扶助費)を福祉事務所が大家さんに直接支払う「代理納付」が原則化されます。これにより、生活保護受給者の方も家賃滞納の心配なく、安心して入居できるようになります。
柱3:地域全体で支える居住支援ネットワークの強化
この改正の土台となるのが、地域での連携強化です。
- 「居住支援協議会」の役割拡大:市区町村に対し、住宅部局と福祉部局、不動産関係者、居住支援法人などが連携する「居住支援協議会」の設置を努力義務化しました。
この協議会が、地域の住まいの困りごとを一手に引き受け、「相談」から「物件探し」「入居後のサポート」まで、切れ目のない公的な支援を提供します。
まとめ:安心の「安全網」が日本の暮らしを変える
今回の改正は、高齢化が進む日本社会において、すべての人に「安心して暮らせる住まい」を確保するための強固な「安全網(セーフティネット)」を、国、自治体、そして民間事業者が一体となって作り上げたことを意味します。
大家さんの不安が減り、空き家が活用されることで、住宅確保要配慮者の方々の選択肢は大きく広がります。
本日施行された改正法が、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らし続けられる社会の実現に向け、大きな力となることを期待しましょう。
ご自身の物件や地域の取り組みについて、ご興味がある方はぜひ【かんりす】にご相談ください。




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