「母の遺言書が見つかったけれど、内容は『長男にすべてを相続させる』というものだった……。」
こうしたケースは決して珍しくありません。しかし、たとえ遺言書にそう書かれていても、他の兄弟姉妹が完全にシャットアウトされるわけではないのです。
鍵となるのは、「遺留分」という制度です。
1. 長女には「遺留分」を請求する権利がある
法律では、配偶者や子供などの法定相続人に対して、遺言の内容に関わらず最低限保障される遺産取得枠を認めています。これを「遺留分」と呼びます。
- 今回のケース: お母様が亡くなり、相続人が長男・長女の2人だけの場合、長女さんは本来の相続分(2分の1)のさらに半分、つまり「全体の4分の1」を遺留分として主張できます。
2. どうやって取り戻す?「遺留分侵害額請求」
遺言によって自分の遺留分が侵害されている場合、長女さんは長男さんに対して「遺留分侵害額請求」を行うことができます。
以前は「土地の一部を分ける」といった現物返還もありましたが、現在の法律では原則として「お金(金銭)で解決する」という仕組みになっています。
ポイント: 「全財産を受け取った長男に対し、自分の取り分(4分の1相当)を現金で支払ってね」と請求する形になります。
3. 注意したい「期限」と「手続き」
遺留分の権利には、非常に短い期限(時効)があるため注意が必要です。
- 期限: 「相続の開始」および「遺留分を侵害する遺言があること」を知った時から1年以内。
- 方法: 後々のトラブルを防ぐため、いつ請求したかの証拠が残る「内容証明郵便」で送るのが一般的です。
4. 感情的な対立を避けるために
「遺言は母の意思だから……」と我慢する必要はありませんが、いきなり法的手段に出ると兄弟仲が決定的に壊れてしまうこともあります。まずは以下のようなステップを検討してみましょう。
- 話し合い: まずは長男さんと穏やかに話し合いの場を持ち、遺留分について理解を求める。
- 専門家への相談: 財産がいくらあるのか不明な場合や、相手が応じない場合は、弁護士や司法書士などの専門家に早めに相談する。
まとめ:諦める前にまずは確認を
「遺言書が絶対」と思い込んで諦めてしまう方は多いですが、法律は残された家族の生活も守ってくれます。
「全財産を特定の誰かに」という遺言に直面しても、まずは冷静に自分の「遺留分」がいくらになるのかを計算してみることが第一歩です。



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