特別受益の「持ち戻し免除」とは? 相続を円満に進めるための知識「ぱせさぽ」

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以前、相続における「特別受益」について詳しく解説しました。生前に特定の相続人が受け取った多額の贈与や遺贈は、相続財産に「持ち戻し」て計算し、公平を図るのが原則でしたね。

今回は、その「持ち戻し」をしなくて済むようにする、「持ち戻し免除(もちもどしめんじょ)」という制度について解説します。

💡 持ち戻し免除とは?

特別受益の「持ち戻し」は、相続人全員の公平を図るためのルールですが、亡くなった方(被相続人)が「この贈与は、他の相続分とは別に与えたい」という意思を持っていた場合、その意思を尊重することができます。

これが「持ち戻し免除の意思表示」です。

  • 通常のルール: 特別受益(生前贈与など)は、相続財産に持ち戻して計算する。
  • 持ち戻し免除の場合: 特別受益を、相続財産に持ち戻さずに計算する。

つまり、特別受益を受けた相続人は、生前にもらった財産を自分の相続分とは別にキープできることになります。

✍️ 持ち戻し免除の意思表示はどのように行うの?

持ち戻しを免除するには、亡くなった方(被相続人)が「持ち戻しをしない」という意思表示をする必要があります。

この意思表示の方法について、民法では特に厳格な形式を定めていませんが、一般的には以下の方法で行われます。

1. 遺言による方法

最も確実な方法は、遺言書の中で明確に「〇〇への生前贈与については、特別受益の持ち戻しを免除する」と記載しておくことです。

(例)「長男〇〇に対して生前に行った住宅資金援助(金〇〇万円)については、民法第903条に定める特別受益の持ち戻しを免除する。」

2. 生前贈与時の意思表示

生前贈与を行う際に、贈与の契約書などに「持ち戻しを免除する」旨を記載したり、口頭で伝えることも可能です。ただし、後の紛争を防ぐためには、書面(契約書など)に残しておくことが非常に重要です。

3. 推定による意思表示

形式的な意思表示がない場合でも、贈与の動機や事情財産の種類などから、被相続人が持ち戻しを免除する意思を持っていたと推定されることもあります。

(例)「学費や保険金の支払いのための少額な贈与」「扶養義務の範囲内と考えられる贈与」などは、特別受益とされても持ち戻し免除の意思があったと推定されやすい傾向にあります。

⚠️ 持ち戻し免除をしても「遺留分」には注意!

持ち戻し免除の意思表示は、原則として有効です。しかし、この免除によって他の相続人の*「遺留分(いりゅうぶん)」を侵害してしまう場合は注意が必要です。

遺留分とは、兄弟姉妹以外の法定相続人に保証されている、最低限の相続財産の取り分です。

  • 特別受益の持ち戻しが免除されていても、遺留分を計算する際には、その免除された贈与も合算して計算します。

つまり、持ち戻し免除をしても、遺留分を侵害していると判断された場合、遺留分を侵害された相続人は、「遺留分侵害額請求」を行うことができます。

遺留分に関するトラブルを避けるためにも、多額の贈与を特別受益の持ち戻し免除とする場合は、弁護士や司法書士などの専門家へ相談することをおすすめします。


🤝 まとめ:円満な相続のために

持ち戻し免除は、被相続人の贈与に対する思いを尊重しつつ、特定の相続人に対して遺産を多く残してあげたい場合に非常に有効な手段です。

しかし、その一方で、他の相続人との間で「公平ではない」という感情的な対立や、遺留分をめぐる法的な紛争の火種になる可能性も秘めています。

家族間でしっかりと話し合い、被相続人の思いを明確にしておくことが、円満な相続への一番の近道ですね。

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